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行政書士 大瀧事務所

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建設業法について

2006.02

建設業を営む者は、建設業法に基づく「許可」を受けなければなりません。勿論「営業の自由」は憲法に保証されておりますが、国民の財産の創造・保全を担う建設業者は、国民(依頼主)の財産保護を負う責任もあります。

建設営業は、登録制を経て、現在は許可制としております。また建設業法は28業種の建設業種を定め、許可基準を定めており、許可申請も許可後の営業・工事施工も厳しい規定を定めております。

建設業法・建設業法施行令・施行規則など、政令や省令も多く発布されております。建設業許可を申請される方や許可を取得されている方にとっての、留意すべきポイントを記しました。

1. 建設業の許可(建設業法第3条)

  1. 2以上の都道府県に営業所があれば国土交通省の許可賀必要
  2. 2以上の営業所があっても1都道府県内であれば知事許可が必要
  3. 営業所(建設業を営む場所)(建設業法施行令第1条)
    1. 本店・支店或いは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいうが、他の営業所に実質関与する営業所も本条の営業所に該当する。
    2. 常時請負契約締結事務所とは、見積り・入札・契約締結も含む。
    3. 建設業営業に必要な場所を有し、電話・机等の備品を備える等の設備が必要とされる。
  4. 軽微な建設工事(許可を受けないでできる工事)(建設業法施行令第1条の二)
    1. 建築一式工事 1,500万円未満又は延べ面積150m2未満の木造住宅工事(主要構造物が木造で延べ面積の1/2以上を居住用とするもの)
    2. 建築一式工事以外の工事 500万円未満の工事
    3. 2以上の契約に分割しても1現場の工事であれば契約金額は合算して契約額を計算する。

2. 一般建設業と特定建設業 (建設業法第3条6項、同条1項2号、同施行令第2条)

  1. 特定建設業とは、発注者から直接請け負った1件の工事について、下請負人の保護を図らなければならない。
  2. 特定建設業を取得する必要があるのは、元請工事で、一現場の下請業者への発注金額の合計が、3,000万円(建築一式工事は4,500万円)以上になる場合。
  3. 工事の全てを自社で施工する場合は、特定建設業は不要である。一工事の請負金額が大きいと、特定建設業に該当すると推定される場合がある。
  4. 一般建設業は、2以外の金額を下請に出す場合や、全て自社施工で行う場合でも必要となる。
    元請建設業者について
    (特定建設業)
    1. 建築一式は4,500万円以上を下請に出す場合
    2. 他の工事業は3,000万円以上を下請に出す場合
    3. 上記を行う場合は請負金額(制限規定なし。但し配置技術者に注意)
    (一般建設業)
    1. 建築一式は4,500万円未満を下請に出す場合
    2. 他の工事業は3,000万円未満を下請に出す場合
    下請建設業者について
    1. 請負金額の制限規定はない
    2. 一次下請が二次下請に発注する場合は下請金額の制限はない(三次以降も同様)
    3. 下請でも軽微な工事以上は 許可が必要
    一括下請負の禁止
    (建設業法第22条、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第12条)
    原則
    請け負った工事を一括して下請に請け負わせてはならず、又、下請も同様である。
    例外
    民間工事の場合で、元請が書面で発注者から承諾を受けて いる場合は除外。
    但し、公共発注者は例外を認めない。
  5. 特定建設業のうち、土木工事・建築工事・電気工事・管工事・綱構造物工事・ほ装工事・造園工事の各工事業は指定建設業とされ、専任技術者は国土交通大臣が定める試験に合格した者や同等以上の能力を有すると認めた者などに限られている。(建設業法第22条1号・2号、同法第15条2号、同施行令第5条の二)

3. 附帯工事(建設業法第4条)

建設業者は、許可を受けた工事業種に附帯される場合、許可を受けていない工事を附帯することができるが、附帯工事であっても、各専門工事の主任技術者、監理技術者を現場に配置しなければならない。(建設業法第26条の二第2項、同法第7条第2項イロハ、同法第15条第2項イロハ)

  1. 主任技術者: 一般建設業の技術者になれる者をいう。
  2. 監理技術者: 特定建設業の技術者になれる者をいう。

4. 許可の基準(許可要件=重要なポイント)

  1. 経営業務の管理責任者について(建設業法第7条1号、同法第15条1号)
    1. 一般建設業・特定建設業
      1. イ. 許可を受けようとする建設業に関し、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者。(法人の場合は取締役以上、令3条の使用人も該当する)
      2. ロ. イと同等以上の能力を有する者と認定した者。(全て7年以上)
        1. 許可を受けようとする建設業以外の建設業に関して7年以上の経営業務経験を有する者。
        2. 許可を受けようとする建設業に関して、経営業務を補佐した経験を有する者。
          (法人である場合は役員に次ぐ職制上の地位、執行役員も含む)
        3. その他国土交通大臣が個別の申請に基き認めた者。(外国企業における役員相当の地位)
  2. 専任技術者について
    1. 一般建設業の場合(建設業法第7条2号)
      1. イ. 高等専門学校・大学で所定学科卒業後、5年或いは3年以上の実務経験を有する者。
      2. ロ. 10年以上の実務経験を有する者。
      3. ハ. イ・ロと同等以上の知識・技術・技能を有すると認められた者
        1. 建設業法、建築士法、技術士法、電気工事士法、水道法、職業能力開発促進法等に基づく合格者など。
        2. その他国土交通大臣が個別の申請に基づき認めた者。(外国における技術、技能資格など)
    2. 特定建設業の場合(建設業法第15条2号)
      1. イ. 特定建設業の資格(建設業法,建築士法による合格者であって、2級資格者を除く)に該当する者。
      2. ロ. 指導的実務経験を有する者。(法7条2号に該当し、2年以上の指導監督的経験を有する者)
      3. ハ. 国土交通大臣が上記イ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有すると認めた者。
      4. ニ. 国土交通大臣が個別申請に基づき認めた者。
    3. 指定建設業(土木、建築、電気、管、綱構造物、ほ装、造園)については、特定建設業の要件のイ又はハに該当する者であることが必要。
  3. 請負契約の誠実性(建設業法第7条3号、同法第15条3号)
    1. 法人,その役員,個人事業主,政令(施行令)3条の使用人が請負契約に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでない者でないこと。
    2. 不正な行為とは、請負契約の締結・履行に際しての法律違反,詐欺,強迫,横領等をいう。
    3. 不誠実な行為とは,請負契約違反(工事内容・工期等の損害負担契約違反等)をいう。
  4. 財産的基礎(建設業法第7条4号、同法第15条4号)
    1. 一般建設業
      自己資本が500万円以上あること。
      500万円以上の資金調達能力があること。
    2. 特定建設業
      流動比率が75%以上であること。
      資本金が2,000万円以上であること。
      自己資本が4,000万円以上であること。
  5. 令3条に規定する使用人(建設業法第3条第1項、同施行令第1条、同施行令第3条)

    建設業法上の営業所(本店・支店・政令で定める支店に準ずる営業所)は、建設業法及び建設業法施行令により、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とされ、営業所での代表者の常駐が要請される。(建設業法施行令第3条における準用条文は、使用人の地位・責務は、役員の地位・責務を準用している。)

5. 専任技術者・主任(監理)技術者・配置技術者の相違(建設業法第25条の二十五)

  1. 専任技術者

    各営業所ごとに常勤・専任で置かれ、契約の適正な締結及び履行に務める。(建設業法第7条2号、同法第15条2号)

  2. 配置技術者(主任技術者・監理技術者の総称)
    1. 主任技術者
      工事現場に常勤・専任で置かれる。
      一般建設業・特定建設業、元請・下請は問わない。(建設業法第26条第1項)
    2. 監理技術者
      工事現場に常勤・専任で置かれる。
      特定建設業者が、直接請け負った工事金額が、3,000万円(建築一式工事は4,500万円)以上の工事を下請施工させるとき。(建設業法第26条第2項、同第3項)

6. 技術者の配置に関する重要な留意点

  1. 専任技術者と主任技術者・監理技術者が同一人でも可。
  2. 現場技術者には出向者はできない。
  3. 公共性のある工作物に関する重要な工事で政令で定めるものについては、主任技術者或いは監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。(建設業法第26条第3項)
  4. 国、地方公共団体その他政令で定める法人が発注者である工作物に関する建設工事について、専任である監理技術者は監理技術者資格証の交付を受けている者であること。(建設業法第26条第4項、同法27条の十八)
  5. 専任の主任技術者又は監理技術者を置くとされる工事は、
    1. イ. 工事一件の請負代金の額が2,500万円以上のもの。
    2. ロ. 建築一式工事の請負代金の額が5,000万円以上のもの。
      (建設業法施行令第27条第1項、監理技術者制度運用マニュアルについて,平成16年3月1日 国総建第315号)
  6. 密接な関係のある二以上の工事を、同一建設業者が、一の場所または近接した場所で施工する場合は、同一の専任の主任技術者が管理できる。(建設業法施行令第27条第2項)
  7. 専任は、他の工事現場との兼任を認めない。(昭和47年3月18日建設省計建発第46号)
    1. イ. 常時継続的に当該現場に置かれる。
    2. ロ. 建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係がある。
  8. 専任の主任技術者が兼務できる場合は、密接な関係のある二つ以上の工事を、同一の建設業者が、同一の場所又は近接場所で施工する場合。

7. 工事請負契約書・契約約款の種類

  1. 公共工事標準請負契約約款(昭和25年2月作成)公共工事用
  2. 民間建設工事標準請負契約約款<甲>(昭和26年2月作成)大規模工事用
  3. 民間建設工事標準請負契約約款<乙>(昭和26年2月作成)
  4. 建設工事標準下請契約約款(昭和52年4月作成)元下請用
  5. 四会連合協定工事請負契約約款(通称四会連合約款)
  6. 建設工事継続的下請基本契約書

8. 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

(平成13年2月16日施行一部平成13年4月1日施行)

(主なポイント)

  1. 公共工事の適正化、情報公表、不正行為措置、施工体制台帳作成。
  2. 適用対象は国、特殊法人、独立行政法人、地方公共団体。
  3. 入札契約のプロセス、内容の透明性、公正な競争性、談合排除。
  4. 施工体制台帳及び施工体系図の作成等、主任技術者及び監理技術者の設置等、指示及び営業の停止のずれかに該当する疑義ある場合の許可行政庁への通知。(建設業法第24条の七、同法26条等、同法第28条)
  5. 一括下請負の禁止の例外規定。[元請負人が発注者の書面承諾を受ければ一括下請を是認する]規定の排除(建設業法第22条)
  6. 施工体制台帳の提出。(建設業法第24条の七)