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行政書士 大瀧事務所

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株式会社への移行

2007.04

平成18年5月1日の会社法施行により、有限会社法の廃止とともに有限会社の根拠法が会社法に基づくことになりました。当然現状の有限会社についてはその存続は認められますが、「商号変更」により、登記をすることによって、通常の株式会社に移行することができます。従来の組織変更手続と似てはおりますが、若干の留意点もあります。

新法施行後、有限会社を株式会社に移行する会社は、想定されたほど多くないように見受けられます。有限会社組織として不都合がないこと、免許税が高いこと、商号を変更した後の届出手続や事務経費が掛かることなど、変更することのメリット以上に費用負担が多いことが挙げられます。
さらに、株式会社の複雑な機関組織のあり方が理解され難いこともあろうかと存じます。

  1. 移行の要点

    有限会社(特例有限会社)の総会で、商号の変更に掛かる定款変更の決議を行います。併せて、他の部分に関する事項や役員等会社の機関の設計に関すること、また移行後の株式会社としての内容としたい事項などを盛り込むこともできます。この場合、会社法に基づく要件が要請されるとともに、会社法に規定される要素を取り入れることができます。

    また、取締役や監査役の任期の規定が適用されることになりますので、有限会社の役員として就任した日から起算して、別段の定めがなかった場合は「就任後2年以内に終了する最終の事業年度に係る総会終結の日」をもって退任し、新たに役員選任を行う必要があります。

  2. 移行の手続

    株式会社へ移行する決議がなされ、その登記手続を行う場合は、同時に有限会社の解散の登記を申請しなければなりません。(有限会社の商号変更による株式会社の設立登記申請と有限会社の商号変更による有限会社の解散登記申請は、同時申請。)同一会社が、商号を変更したとしても別会社とはならず、二重商号を持つ同一会社の存続は認めません。

  3. 必要な書面

    1. 定款(有限会社の総会において承認を受けた定款です。公証役場による認証は不要です。)
    2. 株主総会議事録(有限会社の総会議事録で、株式会社への移行決議があるものです。)
    3. 取締役・監査役・代表取締役・会計参与・会計監査人の就任を承諾したことを証する書面。
      これらの書面は、株式会社としての機関設計により、要・不要を検討する必要があります。
    4. 株主名簿管理人を置いた場合は、その契約書。この書面は株式会社として、株主名簿に関する管理を別に定めた場合は必要となります。
    5. 株式会社へ移行手続を行うと同時に、資本の増資する場合は、金融機関の資本金額保管証明書や会社の銀行等の通帳への入金が確認できる写しなど。
  4. 諸費用一覧

    有限会社の商号変更による株式会社設立登記の申請に、金3万円の登録免許税が掛かります。
    また、有限会社の商号変更による解散登記の申請に、金3万円の登録免許税が掛かります。
    これらの手続は同時申請ですので、株式会社に移行する申請には最低6万円の実費用を要します。さらに、本店移転を行う場合や資本増資を行う場合などは、登録免許税法に規定する費用が掛かります。

  5. 移行後の手続

    有限会社から株式会社に変更することで、税務署、都道府県税事務所、市町村役場や諸官庁、金融機関などのその変更を届け出なければなりません。さらには得意先や取引先にも告知が必要でしょうし、事務書類や事務用品類などの書き換えが必要になるでしょう。
    会社にとって、大きな転機の節目になりますので、十分な検討を望みます。