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行政書士 大瀧事務所

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行政事件訴訟法について

2005.10

行政事件訴訟は、近年幾多の改正があります。一般的に馴染みがありませんが、行政権の違法な行使によって国民の権利利益が侵害された場合に、裁判所へ訴えてその救済を求める訴訟手続を定めています。主な改正点をまとめました。

1. 行政事件訴訟の種類

行政事件訴訟の種類

2. 新設の訴訟種類の定義

「義務付けの訴え」とは、行政庁が一定の処分をすべきなのにしない場合や、法令に基づき処分又は裁決を求める申請や審査請求がなされたにもかかわらず、当該行政庁がその処分又は裁決をしないときに、その処分や裁決をすべき旨を命ずることを求める訴え。
一定の処分がされないことにより、重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ損害回避のための適当な方法がない場合に提起できる。
「義務付けの訴え」の提起があった場合、その訴えに係る処分又は裁決がなされないことにより生ずる償うことのできない損害を避ける緊急の必要があり、かつ本案について理由があると思えるときは、申立てにより裁判所は決定をもって、行政庁が仮にその処分や裁決をすることを命じることができる。このことを「仮の義務付け」という。

「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分や裁決をすべきでないのにされようとしている場合に、行政庁がその処分や裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴え。
一定の処分がされないことにより、重大な損害を生ずるおそれがある場合に提起できる。
「差止めの訴え」の提起があった場合、その訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避ける緊急の必要があり、かつ本案について理由があると思えるときは、申立てにより裁判所は決定をもって、行政庁が仮にその処分や裁決をしてはならないことを命じることができる。このことを「仮の差止め」という。
だだし、仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。

3. 原告適格

処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)はその処分や裁決の取消しを求めるにつき、法律上の利益を有する者や回復すべき利益を有する者が、訴えを提起できる。
第三者(処分又は裁決の相手方以外の者)に対して、原告適格を判断する場合は、法令の文言のみによらず、法令の趣旨や目的更にはその処分において考慮されるべき利益の内容や性質をも考慮するものとする。

4. 被告適格

処分又は裁決をした行政庁が、国又は公共団体に属する場合、取消訴訟を提起する場合の被告は、当該処分・裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体とする。
処分又は裁決をした行政庁が、国又は公共団体に所属しない場合は、取消訴訟は、当該行政庁に提起しなければならず、被告とする行政庁がない場合は、当該処分や裁決の事務の帰属する国又は公共団体を被告とする。

5. 管轄

取消訴訟は、被告の普通裁判籍あるいは処分や裁決をした行政庁の所在地を管轄する裁判所に提起することとなるが、土地の収用、鉱業権の設定やその他不動産又は特定の場所に係る処分や裁決についての取消訴訟は、その不動産又は特定の場所の所在地の裁判所にも、提起できる。
国や独立行政法人通則法に規定する独立行政法人等を被告とする取消訴訟は、原告の普通裁判籍の所在地を管轄する高等裁判所の所在地を管轄する地方裁判所(特定管轄裁判所という)にも、提起できる。その場合既に他の裁判所において、抗告訴訟が系属している場合は、申立て又は職権で、訴訟の全部又は一部を移送できる。

6. 取消訴訟等の提起に関する事項の教示

行政庁は、取消訴訟を提起できる処分又は裁決をする場合には、当該処分や裁決の相手方に、当該処分や裁決に係る取消訴訟の被告とすべき者、取消訴訟の出訴期間などを、書面で教示しなければならない。但し当該処分を口頭でする場合は、口頭で教示もできる。